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  • 吉田 翠

永遠なれと謳ふ者



しんしんと 深い水の底ですら命を永らへる


永遠なれと謳ふわたしは磐長


姉妹で嫁いでおきながら 醜い顔に生まれついたがため 粗末に送り返さるとは 受けたこの身のなんたる恥ずかしさ 天孫瓊々杵尊 何を持って忘られようぞ


かたや妹 美しきその姿をもってして 不義を疑わるとはあはれなもの 悔しさ募り 火中の産屋で三柱を 産み落とせし覚悟あっぱれなり


されどこの身の口惜しさ 追はれた以上情けはかけぬ たとえ柱が国土の祖であろうとも さあさあいかにせば いかがせば不老不死を授けられようぞ


情の怖さを懐に秘め千の思ひと引き換へに 我が身を深き水底に


石 脈々と流るる終古の時に泳ぎ泳ぎて 死しても朽ちないわたしは磐長


永遠なれと謳ふ者


いつの日か 晴れて願へる時が来ば 水底よりその折こそわたしは叫ぶ


我が国土に力あれ





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